アメリカで働くという事が存外厳しかった話
前書き
今回はアメリカで働くという事が存外厳しかった話を書こうと思いますが、情報の正確性は保証できませんので、ここに書かれている事は参考程度にし詳しくは移民弁護士の方にご相談して頂く事を強くオススメ致します。何か間違っていたとしても私は一切責任を負えませんのでご了承下さい。何か間違い等ありましたらコメント頂ければと思います。
また、海外経験豊富な方が集まっている Go Global Meetup というミートアップがありますので、ご興味のある方は出席されてみてはいかがでしょうか。
結論
先に結論を書いてしまいますが、私は少なくとも「今は」アメリカで働く事を諦めました。時期的に無理なく、資格もマッチしそうな Visa がなかったからです。ちなみにこれはただ自分が調べたという話ではなく、移民弁護士の方にお金を払って相談した結果の結論ですので、ほぼ覆らないと思います。そもそも Visa とは一体何なんだとか、どういう種類の Visa があるとかは追って書いていきますが、基本的に、だいたいのエンジニアは事前の周到な準備なくアメリカで働く事はかなり厳しいと認識しておいた方がよいでしょう(もちろん状況によりますが、「基本的には」という話です)。
また、もしこの記事を若い方が見ていらっしゃったら、以下の事を言っておきたいです。
- 大学は絶対出ましょう(少なくとも学士)。人の能力は大学を出ているか否かに関係ないと個人的には思いますが、キレイごとは抜きに実際問題として、人生の選択肢の数が違います。
 - 海外で働きたいのであれば、
J-1Visa でインターンをするとか、海外の大学院に進む、などの選択肢を視野に入れて考えてみるとよいかもしれません。 - アメリカでなかったとしても、20代中盤くらいまでならワーキングホリデーという手もあるので、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
 
私は年もそれなりにいってしまったので人生の選択肢が少なく厳しいですが、若い方には広い視野で世界で頑張って頂きたいです。
そもそも Visa とは何なのか
 Visa とは、その国に入国するために必要になるものです。例えばアメリカに旅行に行く場合、通常は B-2 などの Visa が該当すると思いますが、申請・取得がかなり大変なので、38の国(日本を含む)の居住者は出張や旅行での90日までの滞在を Visa なしで行えるVisa Waiver Program(Visa 免除プログラム)というものがあります。よく聞く ESTA(Electronic System for Travel Authorization)はこれを電子的に便利に行ってくれる仕組みになります。
どういう種類の Visa があるのか
Visa にはたくさんの種類があるのですが、切り口としては、以下の様なものがあると思います。
- 職に専門性があるのか、大学を出ているか、課程は何か(学士、修士、博士)。専門性がない、大学を出ていないと大変になるイメージ。
 - 就労するのか否か(働くのか否か)。働くと大変になるイメージ。
 - アメリカの企業から給料をもらうのか否か。給料をもらうと大変になるイメージ。
 - 特定の企業のためのものかどうか。転職しようとすると大変になるイメージ。
 
以下、一般的にソフトウェアエンジニアに該当しそうなものを列挙しておきます(状況によるので必ず該当する訳ではない)。
H-1B- 専門職の方がよく取るやつで、ソフトウェアエンジニアも該当する。就労可能、転職可能。
 - 3年間その専門フィールドで働くと学歴の1年に相当するといったルール(暗黙?)がある模様。
 - 有効期限は3年だが延長可能。
 - 85,000人分の枠があるが、一年での枠なので、その年の募集が開始されるとだいたいすぐいっぱいになってしまう。
 - 10月に働きはじめるために4月に申し込みをしなければいけない様なイメージ。
 - 申し込みをする時点でスポンサー企業(働く先の企業)が決まっていなければいけないので「取ってから就活しよー」とかはできなく、厳しい。
 
B-1- 一時的な出張などに利用する。就労できるが、アメリカ企業から給料をもらう事はできない。
 - 有効期限は10年だが、一回の滞在の上限は最大6ヶ月であまりギリギリで毎回やっているとお咎めを食らう事があるらしい。
 B-1in lieu ofH-1B(H-1Bの代替手段としてのB-1)という扱いで、H-1Bの取得が難しい場合にB-1の利用が法律上、想定されている。- ただし、
H-1Bより条件が厳しく上述の通りアメリカ企業から給与をもらう事はできない。 - また、日本企業に継続的に雇用されている必要がある。
 - その他にも色々と条件あり。
 
- ただし、
 
L-1- アメリカと資本関係のある日本企業から転勤で現地に行く場合に利用できる。
 - 1年間はその企業で働いていないと取得する事ができない。
 - 就労可能だが、転職する事ができない。
 - マネージャーレベルの人だと取りやすいらしい。
 
E-2- 日本の資本が50%以上ある企業の現地駐在スタッフが取得できる。
 - 例えば日本人が現地に支店(支社)を開く、といった場合に当てはまる。
 - ただし相当額(数千万円レベル)を現地で投資(アメリカ経済に貢献するという事らしい)する必要がある。
 - お金が超ある人はこれはお金で解決できる唯一の選択肢かもしれません。
 
J-1- インターンやトレーニングなどで利用できる。
 - 例えば高度に専門的な技術をアメリカで取得するため、といった目的があり得る。
 - 就労する事も可能で給与を受け取る事も可能だが、主目的は技術の習得、研修でなければならない。
 
 すごくざっと書いたので、詳しくは 米国大使館 の Visa 情報を参照するか、あるいは移民弁護士の方に相談して下さい。なお、一度 Visa の取得に失敗するとその後 ESTA で入国できなくなるらしいので、十分注意して下さい。別に永久に入国できなくなる訳ではなくて、ESTA で入国できなくて B-1 や B-2 を取ればいい訳ですが、それはそれですごく大変だと思います。
自分のケース
 私の場合、 H-1B は取得しようと思えばできるのかもしれませんが、4月を過ぎてしまい既に厳しいので諦めました。 B-1 に関しても日本企業に継続的に雇用されている必要があり、6月末で退職しようと思っているので(え?)、これも厳しいです。 L-1 は1年以上その会社に勤めた人が転勤するものなので、無理です。E-2 は起業家や駐在員のためのものなので、これも厳しいです。J-1 は基本的にあまり経験のない人がトレーニングなどで使うものなので、これも私の場合は厳しそうです。
という訳で、今の状況でいい感じに該当するものがありません。諦めました。
終わりに
もともと「結構厳しいかもなー」なんて思っていたのですが、実際厳しかったです。また、海外で働きたいとはずっと思っていたものの、こうやって少し具体的に検討した事がなかったのでいい経験になったなーと思う反面、前の会社で海外赴任ができないと分かった時点でもっと早く動いていればもっと色んな選択肢があったかもなぁ…などと思うと、やや後悔の念があります。
若い方には是非後悔のない様に人生を生きて頂きたいと思います。